全国に感染が広がりつつある鳥インフルエンザに、道内の養鶏業者が危機感を強めている。北海道の鶏の飼育羽数は食肉用が全国5位、採卵用が全国7位。陽性の鶏が見つかると、発生場所の養鶏場ではすべて殺処分され、半径10キロ圏内の鶏や卵も移動禁止になって業界は大打撃を受ける。業者は予防策を徹底するが、行動を制限できない野鳥がウイルスの運び役 rmt アラド戦記
とみられるだけに「完全な防御は難しい」とのため息も聞かれる。【渡部宏人、新庄順一、斎藤誠、円谷美晶】
養鶏場が集中し、約200万羽以上の鶏が飼育されている千歳市駒里地区。約70万羽を抱える養鶏場の職員は「ドキドキしますよ。(感染鶏が)出たら終わりだ」と天を仰ぐ。鶏舎には防鳥ネットを張り巡らせ、敷地内のすべての出入り口に消石灰
をまいた。外部からの立ち入りは最小限にとどめ、商談もなるべく外でするようにしている。
ただ、同じだけの対策を取っているはずの他地域でも感染が広がっている。「観光施設の立ち入り規制やワクチンの認可など、感染が出ることを想定した抜本策を取ってくれないと、いつまでも安心できない」
多くの野鳥が飛来するオホーツク地方でも、懸念が
広がる。26万羽を飼育する北見市の「ホクリヨウ北見農場」では、入り口での車両消毒、鶏舎内での着替え、靴の履き換えなど、徹底的な防疫体制を取る。それでも担当者は「全国で陽性反応が出ており、どんなことも起こり得る」と最悪の事態も覚悟し、万が一の時には「あとあとの補償も道は検討してほしい」と訴える。
伊達市などでグループ会社が養鶏
場を展開する「第一ブロイラー」(青森県八戸市)は、事態の急展開を受け、27日に開く予定だった四半期ごとの業績報告会を中止した。北海道第一ブロイラーの畠山紀秀総務部長は「発生原因がはっきりせず、あらゆるリスクを想定して対策を取らないといけない」と話す。万一発生した場合は、殺処分した鶏の埋設場所確保が難しいため、道、市、保健所と協議を
始めているという。
行政も懸命だ。北見市は28日から、住民に予防対策を促す文書の配布を始める。「クジャクを飼う人もおり、野鳥が入らない小屋かなどをチェックする」(農林水産部)という。網走市は来月上旬、観光地の「白鳥公園」に、餌付け禁止の看板を設置する。
また、苫小牧市は27日から、カモ類やハクチョウを観察できるウトナイ湖
への立ち入り規制を始めた。湖畔には年間約100万人が訪れる道の駅があるが、湖岸に続く約50メートルのスロープと周辺に工事用フェンスやロープを設置し「立ち入り禁止」のプレートを下げた。
◇「野鳥封じ込め無理」 監視などの対策しかなく
この冬、道内でオオハクチョウやオナガガモへの鳥インフルエンザウイルス感染が確認された浜中町
の現場は、幸い半径10キロ以内に養鶏場がない場所だった。しかし浜中町を含む道東は国の特別天然記念物?タンチョウなど希少鳥類の生息地で、感染源とされる渡り鳥の一大飛来地でもある。関係者は「生息地を破壊するわけにもいかない」と頭を抱えており、監視など地道な対策を続けるしかないのが現実だ。
タンチョウの給餌場として知られる釧路市阿寒
町の「阿寒国際ツルセンター」には、タンチョウに加え、越冬のオオハクチョウ約100羽が集う。タンチョウへの感染を恐れ、職員たちは別の離れた場所にエサをまいたり、ロケット花火で脅かしたりと、何とかハクチョウを引き離そうと悪戦苦闘。効果的な手法を模索するが「羽の生えた動物は制限できない」と、あきらめ声も聞こえる。
環境省は鳥獣保護
区の監視態勢を大幅に強化しているが、釧路市動物園は「どの野鳥がウイルスを持っているかも、もはや分からず、封じ込めは無理」と見る。野鳥の殺処分は家畜伝染病予防法の対象外のためできないといった法的な問題に加え、実際にすべてを捕獲するのも物理的に不可能だ。同省の担当者は「養鶏場側で防御してもらうしかないのでは」と話す。【山田泰雄】
◇ウイルス、靴や車に付着危険 消毒薬が高い効果
養鶏場などへのウイルス侵入防止対策として、専門家が強調するのが、人間が「運び屋」にならないことだ。
鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染する可能性は極めて低く、環境省釧路自然環境事務所は「感染したハクチョウを抱き、くしゃみでも浴びない限り大丈夫」と保証する。しかし靴や服、
車のタイヤなどにウイルスを付着させた人間が移動するのは、感染の拡大につながり非常に危険だ。
釧路市動物園によると、鳥インフルエンザウイルスは寒さには強い半面、消毒液にはとても弱い。アルコールや逆性せっけんなど市販の消毒薬でも高い効果が期待できるという。古賀公也園長補佐は「こうした対策で、ヒト経由の感染拡大は防げるはず」と話し
ている。【山田泰雄】
1月28日朝刊
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引用元:アトランティカ rmt
Cinder
11 年前
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